【余市町】「活動したらTシャツがもらえる」DAOトークンが回し始めた小さな経済圏(実績・事例紹介⑥)

前回の記事では、「寄附だけで終わらない」ふるさと納税の取り組みをご紹介しました。

今回のテーマは、machiDAOの活動をブロックチェーン上で「見える化」する仕組み——トークンエコノミーです。「DAOにトークンって、投機目的でしょ?」と思われるかもしれません。しかしmachiDAOのトークンは売買するためのものではなく、コミュニティに関わるほど余市の特産品やグッズが届くという、もっと身近な仕掛けです。

目次

「お金じゃないなら、何がモチベーションになる?」

トークンエコノミーが生まれた背景には、hiroさんがコミュニティ運営の中で直面した課題がありました。

machiDAO立ち上げ当初、ワークショップの講師やSNS運用などのタスクには少額の報酬を支払っていました。しかし半年ほど経つと、講師の応募者が減ってきた。報酬があっても手を挙げる人が増えないのはなぜか——hiroさんは考えました。

pNouns DAOのコアメンバーとしてグローバルなDAO運営に携わってきた経験から、ひとつの仮説が浮かびます。

「machiDAOに参加してくれている人たちは、お金を稼ぎたいのではなく、新しい体験やスキルを得たいのではないか」。

であれば、金銭報酬よりも活動そのものが報われる仕組みのほうがフィットする。

この発想をもとに、2025年1月、machiDAOのトークンエコノミーがスタートしました。

Yoichiトークン——Base chain上の「ありがとう」

「Yoichiトークン」は、Coinbaseが開発するブロックチェーン「Base」上に発行された独自トークンです。仕組みはシンプルで、machiDAOの活動(タスク)に参加するとトークンが付与され、貯まったトークンを余市の特産品やオリジナルグッズと交換できるというもの。

タスクは25項目が設定されています。
毎週のワークショップに参加すれば300トークン、Xスペースでホストを務めれば500トークン、ブログを1記事書けば1,000トークン、リアルイベントに1日スタッフとして参加すれば3,000トークン。ビーチクリーンやサーフィンといったアウトドア活動にもポイントがつく設計で、「遊びも立派なDAO活動」というmachiDAOらしい思想が反映されています。

交換できるリワード(報酬)も余市らしさ全開です。machiDAOオリジナルTシャツ(3,000〜5,000トークン)、余市産ワインやジュース(各8,000トークン)、そして最上位の余市ウイスキー(30,000トークン)。余市の農家「hamachan」の野菜も交換対象に入っています。

リワード1号は熊本へ——Tシャツが届いた日

トークンエコノミー開始後、最初にリワード交換を申請したのは、熊本県在住のメンバー「はるっくまさん」でした。交換されたのはmachiDAOのオリジナルTシャツ。

北海道余市町のDAOコミュニティで貯めたトークンが、九州の熊本に届く。距離にして約2,000km。このエピソードは小さな出来事に見えますが、machiDAOの仕組みが実際に「動いた」瞬間として重要な意味を持ちます。

はるっくまさんは「今後このTシャツを着て登場する」と宣言してくれたそうで、着用すること自体がmachiDAOの歩く広告になる。特産品のプレゼント企画とは異なり、自分の活動で獲得したリワードだからこそ、身につける動機が生まれます。

「もらう」から「獲得する」へ——仕組みが変えるモチベーション

machiDAOではスタート当初から特産品のプレゼント企画で認知を広げてきました。しかし抽選でもらえるプレゼントと、自分の貢献で受け取るリワードでは意味合いがまったく違う——hiroさんはnoteにそう記しています。

hiroさんのnote:https://note.com/hiroquuipo

トークンという「活動の記録」がブロックチェーン上に残ることで、メンバー一人ひとりの貢献が可視化される。「自分の行動がコミュニティを動かしている」という実感こそが、次のアクションにつながります。

タスク設計はメンバーとのミーティングを重ねながら進め、初期はスペース参加・ミーティング参加・ワークショップ参加の3つに絞ってテスト運用を開始。「まず小さく始めて改善する」というアプローチは、Web3プロジェクトの立ち上げ経験があるhiroさんならではの判断です。

小さな経済圏が地域にもたらすもの

トークンエコノミーはまだ発展途上です。リワードのバリエーションは今後拡充予定で、協賛企業から商品提供を受けられるようになれば、地域の特産品をより広く発信するチャネルにもなり得ます。

この仕組みが持つ可能性は、machiDAOの内側だけにとどまりません。

将来的に協賛が実現すれば、地元の生産者にとっては新たな販路であり、メンバーにとっては余市の味を知る入り口になります。トークンを起点にした小さな経済圏が、地域とコミュニティをつなぐ新しいかたちとして育っていく——その第一歩が、熊本に届いた1枚のTシャツでした。

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