【トマトNFT】 Web3で広がる『農業』のこれからのあり方

今回で第五弾となる地方創生Web3研究所の6月の記事は、「トマトNFT」を特集しています!今回、取り上げるのは、大阪で農業を営む脱サラ農家、とまたろうさんが運営するtomajo DAOとそのNFTについてです!

とまたろうさんの活動は農業だけにとどまらず、Web3、YouTube、Voicyといった領域にも広がっています。その多角的な取り組みに迫る本稿では、農業とNFTが融合する新しい可能性を探求しています。
ぜひご覧いただき、新たな農業の形とその可能性を感じてみてください。

目次

ファウンダー「とまたろうさん」とは? 脱サラ農家

Web3によって新しい農業の形を探求する、とまたろうさんは、現在は農家として活動をしており、自身が立ち上げた農園でミニトマト、きゅうり、ミニイチジク、菜の花、わさび菜を生産しています。彼の名前は、彼がトマトを作っていることに由来しており、これはYouTubeチャンネル名でもあるとのことです。

とまたろうさんは、多彩な経歴を持つ農家で大学卒業後、大手花屋で勤務し、その後は保険会社と不動産業界で活躍してきました。そこから、彼が農業の道を選んだのは、海外旅行で得た経験からでした。元々自由な営業マンとして仕事をしていた彼は、仕事の合間に海外放浪の時間を持つことがありました。しかし、日本のサラリーマン生活に嫌気を感じていた彼の人生を変えたのは、ネパールのポカラでの体験でした。
経済的に厳しい状況にあるにもかかわらず、ネパールの人々が生き生きと生活している姿を目の当たりにしたとまたろうさんは、新しい価値観に触れることとなりました。この経験から、日本の生活の縛りを取り払い、自由に自分の好きなことを追求することが可能だと感じました。

そこから日本に帰国したとまたろうさんは、好きなことだけをやろうと決めました。自問自答を繰り返す中で、自分が植物が好きだと気づき、元々花屋で働いていた経験を生かして、農業に取り組むことを決意しました。

さらに、とまたろうさんは農業を通じて新たな可能性を模索しています。彼はNFTとDAOというWeb3の技術を活用し、自身の農作物を擬人化したデジタルアートとして販売するなど、新しい形の農業を探求しています。これにより、とまたろうさんは現代農業の新たな形を創り出している方です。

stand.fmより参照

stand.fm
はじめまして!とまたろうです^ ^ - 「楽屋裏版」農業で自由を手にするラジオ | stand.fm はじめまして!とまたろうと申します^ ^ □自己紹介 □経歴 □何故農家になったのか? □ネパール、ポカラにて □これから配信したいこと □YouTube 失敗しない畑作り【土起こし...
とまたろうさんの自己紹介

取り組み内容

tomajo NFT

コンセプトは『かっこよく、美しく

tomajo NFTは、日本の農業業界を改革するために設立されたプロジェクトです。その主な目的は、農家が作った品質の高い作物を直接消費者に届け、「既存の中央集権的な流通の仕組みに頼らずに、農家の利益を増やす」ことです。このプロジェクトでは、トマトの品質ごとにイメージされた個別のNFTをリリースしており、その売上はコミュニティ関わっている農家の支援に使われます。つまり、tomajo NFTの購入は、農家のチャレンジを後押しする形のクラウドファンディングとも言えます。

tomajo NFTのopenseaより

https://opensea.io/collection/tomajo

また、tomajo NFTは一定の特典を提供しています。NFTを所有することで、ジェネラティブNFT制作プロジェクトのメンバーになることが可能で、初期の貢献者としてNFTに永久に名前が刻まれます。さらに、今後新たな特典が付与される可能性もあります。

このプロジェクトは、2022年7月3日に最初のNFTをリリースし、以来毎週日曜日の朝10時に新しい作品をオークション形式でリリースしています。初期の作品は0.01ETH(約2,500円)でしたが、価格は徐々に上昇し、現在の最高落札額は1.25ETH(当時のレートで約28万円)に達しています。

tomajo NFTは、農業界のNFTとして先駆けて道を切り開き、農業界No.1のNFTコレクションを目指しています。その実現に向けて、Web3上に村を創り、オープンな市場を構築するなどの取り組みを進めています。

Crypto Japan Agri NFT

Crypto Japan Agri(CJA)は、クリプトアグリジャパンの略で、「Web3上に農村をつくる」という理念のもとに運営されているジェネラティブNFTコレクションです。このNFTは2023年6月9日に販売が開始されたものであり、tomajo DAOの第二のフェーズと考えられます。ここで言う「クリプト」は暗号資産を、「アグリ」は農業を意味しています。このプロジェクトは、tomajoDAOメンバーによって設立され、そのコミュニティメンバー全体が豊かになることを目指しています。

CJAの特徴

1. 発行数
2. ガチホ文化圏
3. 全国の農家の野菜がモチーフ

1.発行枚数

CJAの特徴はその発行数であり、10年かけて、47,000枚のNFTを発行する計画があります。これは現在の日本のNFTプロジェクトと比較しても多い枚数です。CJAの運営は、プロジェクトにコミットするために、運営保有分を多く持ち、今後長期にわたって丁寧にNFTを販売する計画を立てています。ランダムにNFTを配るのではなく、CJAのコンセプトを理解し、NFTを丁寧に扱う仲間に配布していく予定です。また、CJAは、単なる投機目的のNFTの発行ではなく、農業のあり方を変えるために、の価値を高める努力を継続するとしています。

2.ガチホ文化

CJAはガチホを推奨します。CJAは農家だけでなく、日本の農村のように村民(コミュニティメンバー)同士が助け合うために発行されたNFTです。
「ガチホ」とは、日本のインターネットスラングで、「ガチでホールド」の略語です。ここでの「ガチ」は「本気で」、「ホールド」は「保有する」を意味します。つまり、「ガチホ」は「長期にわたり本気で保有する」という意味になります。

短期的な価格変動に左右されず、長期的にそのNFTを保有し続けることを指します。CJAは10年かけて、47,000枚のNFTを発行していく長期的なプロジェクトであり、運営はCJAの価値が上がるための努力を行っていくことが期待されるため、ガチホしていれば価値が出てくる可能性があります。

3.全国の農家の野菜がモチーフ

左から、「長野産プルーン」「青森産りんご」「青森産にんにく」「熊本産馬肉」
他にも様々なご当地の特産物のNFTが存在しています。

参照:とまたろうさんの投稿
https://twitter.com/taishi_toma/status/1668407256315207680

CJAから発行されるNFTのアートには各都道府県の特産物や農産物が描かれています。これによって、日本全国の都道府県それぞれの特徴ある特産物や農産物をアートに取り入れることで多様性と独自性を生み出すことができ、コレクションとしての魅力を高めることに繋がります。また、各都道府県の特徴が取り入れられることで、関係人口の創出にも繋がります。就職や大学進学によって、地元を離れてしまった関係人口がNFTの購入を通して、間接的に地域を応援するきっかけを作り出す可能性もあります。

tomajo DAO

tomajoDAOのコミュニティへは無料で参加することができ、2023年6月現在、tomajoDAOの参加者は2,280人以上で、現役の農家、これから就農を考えている人、漁師、アーティスト、サラリーマンなど、バラエティに富んだ背景を持つ人々がいます。農業に関わりのない人でも、農業に少しでも興味がある人なら誰でも歓迎されるオープンなコミュニティです。多種多様な人々の交流から、新たな農業のイノベーションの可能性も秘めている、これからが楽しみなコミュニティとなっています。また、メンバーによる直売所からは各農家の商品を直接購入することができ、安全に新鮮な農産物を手に入れることが可能です。

参照:tomajoDAO直売所
https://tomajodao.com/tomajodao-marche/

Web3が変える農業

tomatoDAOは、農家や農業を応援する人々、そして農業に興味がある人々が集うコミュニティとしての可能性を持つと同時に、一次産業である農業の収益構造を変革する挑戦でもあります。現在の農業界が中央集権的で権威主義的な構造に対し、Web3は自律的で分散的な特性を有しています。消費者と農家が直接つながり、農産物の購入や仮想通貨による決済が可能になるなど、Web3は一次産業の収益を増大させる可能性を秘めた絶好のチャンスです。

実際に、29枚のNFTが発行されたtomajo NFTは、総取引量が27ETHに達し、これは日本円で約675万円(1ETH=25万円を想定)に相当します。これは、農業における新たな収益構造を生み出し、NFTによって副収入が生まれている一例です。

このように農業が収益を上げる一方で、得られた資金によって新たな挑戦が生まれ、これは、持続可能な挑戦の好循環を生み出す可能性を秘めています。

今後の展望

CJAでは、「NFTのクレジット購入」と「NFTの手売り」が近日中の予定として控えています。クレジットカード決済により、NFTに関わる人々が増えることを期待しています。また、リアルの農業イベントなどでNFTの手売りを行い、農産物を購入するとNFTがおまけとして付く形で、NFTの普及を図る予定です。イベントでは「農業体験 to mint」も企画されています。TAGとコラボした企画で農業体験をしたら「クリプトJA」がgiveawayされるとのことです。

今回は、tomajo DAOとそのNFTについて調査し、紹介させていただきました。Web3上での種まきが始まり、NFTが今後どのように世の中に浸透していくかを長期的な視点で見据えると、10年後の未来が楽しみになります。私自身は地方出身で農業と近い環境で育ったため、農業に関する課題には強い関心を持っています。これからの日本の農業の存続を考えると、このような新しい取り組みを応援したいと思います!(中村一稀)

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