毎月一度お届けする地方創生Web3研究所の記事。今回は静岡県三島市で2022年からWeb3技術とウィスキーを組み合わせた地方創生プロジェクトに注目してみました。地域の個性とWeb3を融合させることで生まれる新たな可能性をご紹介できればと考えておりますので、ぜひお楽しみください!
三島ウィスキープロジェクトとは?
三島ウィスキープロジェクトは、富士山の湧水に恵まれた美しい街、静岡県三島市を舞台に、「三島限定Whiskey」などの地域ブランドを創り出し、地方創生の新たな可能性を追求しています。このプロジェクトは、地域限定のウィスキーを通じて関係人口の創出と拡大を目指し、さらにデジタル技術(web3)の導入により、国内外からの参加者を引き寄せ、三島市民と繋がるコミュニティを築くことを目的としています。
このプロジェクトの特徴は、消費者だけでなく、ブランド創りのプロセスにも関与することが地域との継続的な関係につながるとの考えから、さまざまな地域で関係人口創出に役立てるモデル事業として展開していくことを目指している点です。これにより、地方創生に新たな視点をもたらし、他の地域の取り組みの参考になることが期待されます。
取り組み内容
こちらのプロジェクトでは、FiNANCiEプラットフォーム上でトークン「key3」を発行し、プロジェクト支援を募る次世代型クラウドファンディングの仕組みを活用しています。このプロジェクトは、内閣府の関係人口創出・拡大のためのモデル事業に採択されており、2022年10月13日から「FiNANCiE」で販売されたトークン「key3」は、わずか20日間でサポート金額が1000万円を突破しました。タルへの火入れも5月14日に予定されており、プロジェクトが順調に推進されています。
「トークン発行型クラウドファンディング」は、プロジェクトオーナーとサポーターが共に新たな価値を創造し、双方にとって有益な体験を生み出す仕組みです。プロジェクトオーナーは、トークン販売による収益をプロジェクト支援金として受け取り、サポーターへは様々な特典や体験を提供します。
トークン発行の仕組み
1. FiNANCiEから「key3」トークンが発行される
2. プロジェクトを支援するサポーターがトークンを購入する
3. トークンを購入したサポーターはコミュニティに参加することができるようになる
4. トークンを保有しているサポーターは、三島市に関するさまざまな特典を受け取ることができる
FiNANCiEにおけるトークンは、トークン発行オーナーとプロジェクトサポーターを繋ぐ証となる「デジタル上のアイテム」です。ポイントのように数量があり、保有数に応じて様々な特典が受けられ、保有し続ける限りプロジェクトに継続参加することができます。また、トークンは需要に応じてその価値(=価格)が変動する特徴を持っています。サポーターはFiNANCiEアプリ内のマーケットプレイスでいつでもトークンを追加購入・売却することができるので、初期から保有すればするほどその価値が高まる可能性が高く、プロジェクト支援を継続するモチベーションとなります。コミュニティ内ではサポーター同士でトークンをプレゼントし合うことも可能です。
Key3トークンサイト
https://financie.jp/users/whiskey_and_co/cards
さまざまな特典
優先購入券の特典
トークン保有数により、熟成年数の長いウィスキーボトル製品を購入できる権利が獲得できます。3年熟成品は割引価格で通販購入が可能な「優先割引購入権」が付与され、5年・10年熟成品には「優先購入権」(割引なし)が付与されます。熟成年数と必要な口数は、3年(1口)、5年(5口)、10年(10口)で、樽詰日は2023年4月予定しているとのことです。
熟成年数 | 優先購入権の種類 | 割引 | 付与数 | 発売予定日 |
---|---|---|---|---|
3年 | 優先割引購入権 | 10% | 1口につき1本 | 2026年6月 |
5年 | 優先購入権(割引なし) | なし | 5口で1本 | 2028年6月 |
10年 | 優先購入権(割引なし) | なし | 10口で1本 | 2033年6月 |
三島市ならではの特典
web3の仕組みを活用し、静岡県三島市における三島限定Whiskeyづくりに取り組むこのプロジェクトでは、2023年3月2日に、追加の特典が発表されました。
1.VILLAGE INCとのコラボ
- 突発的なスペシャルオファー:空き日にサプライズ特別価格で宿泊施設を利用(500トークン必要)
- 優先予約権:西伊豆のプライベートキャンプ場「AQUA VILLAGE」への優先予約(1,000トークンで平日、10,000トークンで平日休日問わず予約可能)
- 日本初のシーサイド・キャンプ&ミュージック・フェス「Karatsu Seaside Camp」無料招待券(先着100名、1,000トークン必要)
- 温泉旅館「さなざわ㞢テラス」貸切権:年3回10万円で最大50名まで宿泊可能な温泉旅館の貸切(5,000トークン必要)
2. LtG Startup Studioとのコラボ
- 会員専用サウナ:LtG会員のみが利用できるプライベートサウナの利用特典(1,000トークン必要)
3. 6curry&とのコラボ
- ウイスキー持込み権:持込み料金なしで1回につき1本のウイスキーを持ち込むことができる(500トークン必要)
- ボトルキープ権:好きなウイスキーボトルを1本、キープボトルとして八重洲店に置くことが可能(1,000トークン必要)。
- 一日店長権:ウイスキーを通じた出会いを広げるために、1日店長として趣味や研究していたカクテルの披露などを行うことができる(5,000トークン必要)
ウィスキーTokenの可能性
今回取り上げさせていただいた、静岡県三島市のウィスキーTokenには、地域の特徴を活用したゼロからの価値づくりの可能性を感じました。ウィスキーTokenプロジェクトは、参加者が共同で価値を創造し、独自のエコシステムを構築することが期待されます。この取り組みにより、これまでの地方地域の大企業の企業誘致などの仕組みに依存せず、自主的な経済活動が実現し得ると感じました。さらに、関係人口を取り入れることで地域経済の活性化や新しいアイディアからの新ビジネスチャンスが生まれる波及効果が見込めると思われます。このプロジェクトをモデルとして、他の地域や産業にもゼロから価値を生み出す取り組みが続くことでしょう。(中村一稀)