地方創生×Web3時代のゆるキャラ

あなたの地方には今、ゆるキャラはいますか?

かつてのゆるキャラブームで活躍したキャラクターたちも一時のブームが過ぎ去り、最近あまり見なくなったキャラもいるのではないでしょうか。
今回はブームが過ぎ去ったゆるキャラについて、Web3という新しいテクノロジーの環境変化により再び活躍する可能性があるのか考えていきたいと思います。ゆるキャラと地方創生×Web3の事例を交えてご紹介します。

目次

ゆるキャラブームが過ぎ去り

ゆるキャラブーム

ゆるキャラといえば「ひこにゃん」から火が付き「くまもん」といった人気キャラクターIPを生み出しました。
2011年からゆるキャラグランプリが開催され、ピークの2015年には1727体ものゆるキャラが参加し、まさに全国でゆるキャラブームが巻き起こりました。もちろんブームはいずれ過ぎ去りますので、くまもんほどの人気キャラクターIPとして現在も活躍しているものは少ないです。多くは地元イベントでがんばっているか、中には倉庫の片隅で眠っているものもいるでしょう。

ゆるキャラはブームに乗っかっただけで失敗だった・・・ と言うのは簡単ですが。
本当にこのまま失敗で終わらせてよいのでしょうか?

ゆるキャラを活用するポイント

ゆるキャラの力をもう一度地方創生に活用できるか以下のポイントに注目します。

ポイント

  1. キャラクターIPの力
  2. 目的のデザイン
  3. Web3テクノロジー

1.キャラクターIPの力

現在、世界に誇る日本の文化・産業として、アニメ・漫画などのキャラクターIPが注目されています。日本人は元来、かわいいキャラクターが大好きなキャラクター大国です。キャラクターIPのポテンシャルは高く、ゆるキャラにもまだまだ可能性があるのではないでしょうか。

2.目的のデザイン

目的が曖昧なまま二番煎じ、前例主義でブームに乗っかったことは反省すべきでしょう。中には高いコンサル料を無駄にした地方もあるのではないでしょうか。自治体、民間に限らず、ただ真似しただけのサービスが継続的に生き残る可能性は極めて低いです。地方の取組においても目的を明確化し、差別化やターゲティングといったマーケティング戦略、サービスデザインが必要であると考えられます。

3.Web3テクノロジー

時代は新しいテクノロジーが次々生まれ浸透してきています。現在はWeb3技術が成長してきており日本の国家戦略として推進されてきています。このWeb3時代といえる環境変化にゆるキャラを上手く適応することで地方創生に一役買うことができるかもしれません。

次章からは3つのポイントを組み合わせたゆるキャラの可能性と事例に触れていきます。

新時代のキャラクターIPとNFTの活用

くまもんのIP利用の仕組み

くまもんはキャラクターIPとして継続して大成功しているといえるでしょう。
2022年のくまもん利用商品売上高は1590億円を超え、2011年の調査開始からの売上高の累計は1兆2932億円となっています。
 <熊本県知事定例記者会見より>

実はくまもんのキャラクターIP利用料は無料となっています。申請さえ通れば無料でくまもんの商品を出すことができるのです。くまもんはIP利用料で儲けようとするのではなく、広く使ってもらってブランド価値を高めたり、地元企業がキャラクターを用いることで売上に貢献できるといった目的がデザインされているのです。利用する企業等が分散自律型で工夫・活用することで、キャラクターを幹に葉や花が潤う設計ができています。

このようにキャラクターIPを無料化し分散自律的に継続させる取組は、Web3テクノロジーとマッチしており様々な活用が期待されます。

Web3時代のIP利用の仕組み

Web3時代のIPを作るプロジェクトとして、Crypto Ninja / Crypto Ninja Partners (CNP)が挙げられます。忍者やそのパートナーとなる生き物のキャラクターをNFTアートという形で販売しています。

Web3テクノロジーの一つであるNFTを用いることで、キャラクターのイラストといったデジタル商品が「本物である所有証明書」のようなものを管理することができます。詳細な技術はここでは紹介しませんが、忍者やパートナーのキャラクターNFTを所有するオーナーが存在すると考えてください。

<Crypto Ninja キャラクター 咲耶>

これらのキャラクターの2次創作は基本無料で発信、販売することができます。オーナーは自分の所有するキャラクターの2次創作が無料で行われて怒らないのでしょうか?
たとえIP利用料が無料だとしても、キャラクターの知名度が広がり、ブランド価値が上がることで、所有している本物のNFTの価値(時に価格)が上がるというメリットがあります。

また、2次創作をしてくれるクリエイターを応援するという文化もあります。オーナー、クリエイター、さらにキャラクターや2次創作作品が好きな人たちが集まってコミュニティを形成しています。コミュニティではキャラクターが活用され、盛り上がることを積極的に応援してくれることもあります。応援文化を持つコミュニティについては次章で紹介します。

素材屋CNP:無料で2次利用可能なキャラクター素材>

ふるさと納税とNFT

地方創生でのNFTの活用としては、ふるさと納税とNFTを合わせた事例があります。
ふるさと納税の返礼品としてキャラクターを用いたNFTを発行し、NFTの応援文化と掛け合わせて地方を盛り上げる取組がなされています。

ふるさと納税NFTについては以下の記事をご参照ください。

あわせて読みたい
【ふるさと納税NFT】ふるさと納税で生まれる、デジタル関係人口の可能性 今回で第6弾となる地方創生Web3研究所の記事は『ふるさと納税NFT』です。あるやうむではこれまでに13の地方自治体様と一緒にふるさと納税NFTの提供に取り組んでいますが...

ゆるキャラとDAOコミュニティ

Web3時代の特徴の一つとしてコミュニティ(DAOと呼ばれる)活動があります。様々なテーマについて活動するコミュニティが存在しており、地方創生も一つのテーマとしてあります。山古志DAOのような、山古志村の人口以上のデジタル村民を集めている事例もあります。

DAOでのゆるキャラ作成事例

今回は岡山県のNeo西奉還町商店街メタバース計画(NEO HOUKAN)のゆるキャラ:ねふぉん君をDAOコミュニティ(のんびりWeb3)で作った事例を紹介します。Web3初のゆるキャラ作成事例として参考になる部分も多いと思います。

DAOにはデザイナー、コンセプター、地元岡山・商店街のご意見番、ガヤの盛り上げ係・・・といった様々な背景とスキルを持った方々が全国から集まりました。
キャラクターのアイデンティティやビジュアルコンセプトはDiscordツールでコミュニケーションを取りながら決めています。 デザインのラフ案もDAO内で募集し、集まった案をディスカッションしながら一つのラフに落とし込んでいます。
そして、ラフやキャラクターアイデンティティの設定をもとに広くキャラクターデザインを募集しました。 そして、複数デザインの中から、DAOでこの取組に関わった人の持つトークンによる投票でデザインが決まりました。

【Web3×地方創生】奉還町モデル(1) メタバース商店街のゆるキャラを作ろう

ゆるキャラによる地方とDAOの効果

DAOコミュニティでゆるキャラを作ることで、地方とDAOコミュニティともに効果がありました。

地方(商店街)にとっては、一つの地方に閉じていてはなかなか集まらない多様なメンバーの力を使うことができました。コミュニティメンバーやデザインコンペに参加してくれた人など、西奉還町商店街を調べ、考え、興味を持ってくれた「熱い関係人口」が増えました。中にはねふぉん君をきっかけとして、実際に西奉還町商店街を訪れてくれる方もいます。

もちろん、くまもんのように多大な広告費を用いてメジャー化することはしていないです。ですが、商店街を盛り上げる、新しいテクノロジーを用いて活性化させる、熱い関係人口を増やすという明確な目的デザインに対して効果がありました。
<参考記事>NFTとコミュニティ連携で創る、次世代の商店街

<Neo西奉還町商店街メタバース計画(NEO HOUKAN)イメージビデオ>

DAOコミュニティにとっては、ゆるキャラを作るということで「地方を盛り上げる」という目的に協力する社会貢献意義を感じることができました。ゆるキャラ作りは最初に試行錯誤してキャラクターを作るところから始まり、ステッカーやスタンプ等のグッズ作成のように広がりがあります。やることが多くあることでコミュニティとしての活動が活発になりました。

また、その中でデザイン等の自分の強みを活かして活動できる楽しみがあります。

なにより、ゆるキャラを愛し、そのために活動することでコミュニティに一体感が生まれます。これは、コミュニティ(特に利益目的のプロジェクト)を継続的に運営することが難しいという課題に対し、一つの解決の糸口になるのではないかと考えます。

<ゆるキャラを作成したDAO:のんびりWeb3>

このようにゆるキャラを用いる活動により、地方とDAOコミュニティ双方に利点があります。もちろん上手く盛り上がれば日本としても地方創生に繋がります。
つまり、ゆるキャラはWeb3テクノロジーを用いることで三方よしの可能性を持っているのです

地方創生とゆるキャラの少し未来

今回はゆるキャラを例に、NFTやDAOといったWeb3テクノロジーと組み合わせた地方創生の少し未来の可能性をご紹介しました。
地方創生にWeb3という新しいテクノロジーを組み合わせることで、ゆるキャラのような今までの地方の取組をアップデートし、より良い社会をつくれる可能性があります。

あるやうむはNFT等のWeb3テクノロジーを用いて、地方創生に貢献していきます。

<協力>
 のんびりWeb3  <Discordコミュニティで活動>
 NEO HOUKAN | NEO西奉還町商店街メタバース化計画

この記事を書いた人:noel

Web3×メタバースエヴァンジェリスト

「Web3×メタバースの融け合う“少し未来(Sukoshi Future)”をつくる」
というコンセプトのもと、note:少し未来(Sukoshi Future)、NewsPicksTopics等で情報発信。様々なDAOでマーケティング等活動。

Web3/メタバースに関する戦略、マーケティングにご興味ある方はご連絡ください

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