第11弾の地方創生Web3研究所の記事テーマは「脱炭素×NFT」です。
2020年10月、菅元総理は「2050年カーボンニュートラル宣言」を行いました。
地球温暖化が原因と思われる災害が身近になった昨今、ニュースでもたびたび取り上げられるテーマなので聞いたことがある方も多いでしょう。
しかしながら、私たち一人一人がこの大きな目標に向かって関わっていくとしても、なにから始めてよいかわからないのではないでしょうか?
一つの解決策として考えられるのが、NFTに代表されるブロックチェーン技術を用いて個人や企業、自治体の関係性を可視化することで生まれるモチベーション維持やブランド向上、関係人口の創出です。
そこで今回はカーボンニュートラルの説明と、NFTを使った個人でも参加できる脱炭素プロジェクトを紹介していきます。
カーボンニュートラルとは?
カーボンニュートラルとは、カーボン(炭素)の排出量と吸収量を2050年までにトータルでゼロ(ニュートラル)にしよう!という取り組みです。
地球温暖化の原因とされる温室効果ガスに含まれるCO2(二酸化炭素)、メタン、一酸化炭素、フロンガスが対象。
私たちの生活や企業の生産活動において、森林や海洋植物などが吸収する分を超える温室効果ガスを排出してきました。
これからは、化石燃料(ガソリンなど)からグリーンエネルギー(太陽光発電や風力発電など)にシフトすることで温室効果ガスの排出量を減らし、森林の整備・緑化、海洋植物の保全などによる温室効果ガスの吸収量を増やす必要があります。
また、大気中の温室効果ガスを直接回収する装置なども開発が進んでいて、これらの合わせ技でカーボンニュートラルを目指します。
現在、120以上の国と地域が実現を表明しており、私たち個人としても取り組んでいかなければならないテーマといえるでしょう。
カーボンオフセットとは?
カーボンオフセットは、温室効果ガスの排出削減をおこなったうえで、ゼロにできなかった分を他の形で埋め合わせする取り組み。
カーボンニュートラルは温室効果ガスの排出量と吸収量をトータルでゼロにすることですが、経済活動のなかで排出量が吸収量より多い場合に植林・森林保護などの活動への投資や、他の企業や団体が削減した分を購入して埋め合わせ(オフセット)しようという考え方です。
この埋め合わせ(オフセット)をする際にカーボンクレジット(排出権)として発行し、取り引きができるようになっています。
カーボンクレジットとは、二酸化炭素の排出削減証明書です。
「京都議定書」や「パリ協定」にて、二酸化炭素の排出量を削減することが取り決められ、各国に目標数値が存在します。その目標に達成できない場合は、目標以上達成している国からカーボンクレジットを買い取ることで、目標を達成しています。
【ReFi×地方創生】ReFiがもたらす地方創生の可能性とは より引用
なぜカーボンオフセットにNFTを活用するのか?
NFTの特性を活かすことで、カーボンオフセットの取引を行う際にもっとも気を付けなければならないデータの改ざんを防ぐことができます。
NFTの特性上、データの改ざんや複製が難しいことに加え、世界中の誰とでも取引ができるうえにそのやりとりがすべて公開されています。
この技術を活用することで自身の取引データを残すことができ、証明書としての利用が可能になるのです。
「脱炭素×NFT」の課題
しかしながら、カーボンオフセットにNFTを活用するにあたっては課題があり、実例が少ないのが実情です。
まず、カーボンオフセットに法的拘束力がないため、企業や個人が脱炭素に積極的にならない限り活用が広がりません。
また、削減目標や数値化が難しいといった問題に加え、NFTの認知度が低いため、環境意識とネットリテラシーの高い企業や個人でないと積極的に導入できないといった課題があります。
脱炭素社会の実現とNFTという技術が一般に広がるにはまだまだ時間が必要です。
脱炭素×NFTを活用した事例
まだまだ事例は少ないものの、脱炭素社会へ向けて取り組みを始めている企業や自治体も出てきています。
私たち個人も関わりやすいNFTを活用した事例を紹介します。
capture.x
CO2削減プロジェクトを支援して、脱炭素社会の早期実現を目指すサービス。
購入した環境貢献型NFTに対してエールを送ることで、プロジェクトが実際に削減した昨日のCO2削減量データを確認することができます。
ユーザー側は、スマホから応援しているプロジェクトのCO2削減に関わる数字を毎日見られるので、CO2削減に向けた意識と行動が自然と高まっていき、企業側としては、自社のCO2削減に関する取り組みを一般消費者に知ってもらえるきっかけになるのでブランドイメージの向上につながります。
また、一部プロジェクトはふるさと納税としても購入できるので、CO2削減だけでなく自治体を応援することにつながる点も魅力的ですね。
福島・二本松ソーラーシェアリングサポーターNFT
福島・二本松市にある日本最大級のソーラーシェアリングで育てているぶどうの樹のオーナー権(毎年更新)をNFTで販売。
ソーラーパネルの下で栽培することで強烈な太陽光から守ることができ、高品質なぶどうの栽培が可能です。
オーナーとして成長を見守りながら、収穫した際にはぶどうが届く楽しみがあると同時にふだんの生活で排出するCO2を太陽光発電によって削減されたCO2で相殺できるので一石二鳥といえますね。
NFTプロジェクトではありませんが、ぶどうの他にも大豆やエゴマなどの作物栽培や放牧牛の育成にもソーラーシェアリングは活用されおり、今後の拡大が期待されます。
MORI NFT
個人がNFTを通して森林整備活動を応援しながら、カーボンオフセットにも関わることのできるプロジェクト。
森林整備プロジェクトに対してNFTが発行され、世界中の誰もが取引可能。
そのプロジェクトが吸収したCO2吸収量に応じて新たなNFTが発行され、そのNFTを使ってブロックチェーンに記録される形でカーボンオフセットを行うことができます。
Xにて第1弾プロジェクトの広島県庄原市の植林状況がレポートされており、遠く離れた場所からプロジェクトを見守ることができるのもよいですね。
WOOD DREAM DECK
「木を使ってしたいこと」を持つ人の願いを実現するための支援を通して、森林が抱える課題や「都市集中・地方衰退」「低・脱炭素化」の解決を、コミュニティとWeb3技術を使って解決に導いていくプログラム。
プログラム第一弾「みんなでサウナに入りたい」は、埼玉県秩父郡横瀬町の官民連携プロジェクト「よこらぼ」※1に採択されました。
地域の木を使って作られた「ocomori sauna(オコモリサウナ)」には横瀬町以外の人たちも制作に関わっており、関係人口づくりにも貢献しています。
※1:よこらぼは、企業・団体・個人が実施したいプロジェクト・取り組みを横瀬町をフィールドに、実際に社会実装などを実験できる仕組み。
脱炭素とNFTで広がる少し未来の地方創生
環境省のデータによると世界平均気温は過去100年間で0.74℃上昇し、今後100年間有効な温暖化対策をとらなかった場合、さらに2.6℃~4.8℃上昇すると予測されています。
喫緊の課題である温暖化対策について、個人のエコ活動はもとよりGX(グリーントランスフォーメーション)がより重要になってきており、温室効果ガスを発生させる化石燃料からグリーンエネルギー中心へとシフトし、新たなエコシステムを構築する転換期にきているといえるでしょう。
また、森林や田畑をカーボンオフセットの切り札として有効活用するためにNFT、ブロックチェーン技術をうまく取り入れることで地域外からの協賛・支援を募りやすくなるため地域企業・自治体の収入源と関係人口の創出となる可能性も大いに秘めています。
まとめ
「2050年カーボンニュートラル宣言」を実行していくためにGXの推進が欠かせませんが、NFTの技術を取り入れることで、個人間でもカーボンオフセットの取引が活発化されると期待されています。
また、テクノロジーを用いることで新しい産業ができ、雇用が創出され、地方自治体の新たな税収になるかもしれません。
「株式会社あるやうむ」は、これからもNFTによる地方創生を推進していきます。
この記事を読まれた方が環境問題を身近に感じるとともに、新たな地方創生の可能性を感じていただけたら幸いです。
この記事を書いた人
さいさと
宅配ドライバー歴20年。二児の父。
仕事を求めて首都圏に出てきましたが、Web3を知って地方でも稼げる可能性を模索しています。
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