【リモートワークと地方創生】働き方の多様化は地方創生にどのように寄与するか

リモートワークと地方創生

第7弾の地方創生Web3研究所の記事は『リモートワークと地方創生』です。
新型コロナという外的要因の中で普及が進んだリモートワークは、「分散」というWeb3的な働き方を可能にしました。
今回は、リモートワークの中でも特にフルリモートに着目し、こうした働き方が地方創生にどのように寄与していくかを考えていくとともに、地方でリモートワークを実践・推進する気鋭の企業をご紹介したいと思います。

目次

地方創生的な観点でのフルリモートのメリット・デメリット

フルリモートのメリット・デメリットは、働き手・企業・自治体など多様な視点から見ることが必要ですが、今回はあくまでも地方創生的な観点から考察していきます。

フルリモートのメリット

  1. 魅力ある地方への移住が促進される
  2. ライフステージの変化に伴う人の流動性が生み出される
  3. 経済活動や納税が住んでいるまちを潤す

1 魅力ある地方への移住が促進される

いわずもがなですが、会社への出社がゼロなので、会社のために住む場所を選ぶ必要がなくなります。これにより、慣れ親しんだ地元で働く、子育て環境の整った場所で働く、自然豊かな地方で働くといったことが可能となり、こうした働き方がさらに普及すれば、特色や個性を強く打ち出した、魅力ある地方への移住がさらに促されるでしょう。

2 ライフステージの変化に伴う人の流動性が生み出される

若い時は多くの人と交わるために大都市で、子供が生まれたら教育環境の整っている地方都市で、子供が独立したら自然豊かな中山間地域で、長く付き合う必要のある病気やケガをしたら医療施設が整っている都市へ・・・といったように、ライフステージが変化するごとの自由な移住が可能となります。人の流動性が生まれることで地域が活性化し、新たなシナジーが生み出されるかもしれません。

3 経済活動や納税が住んでいるまちを潤す

フルリモートで働いて得た収入は、多くの場合、生活必需品の買い物などにより住んでいる地域に還元されます。また、一部は個人住民税として居住自治体の財源となるほか、フルリモートを活用する企業の拠点があれば、その法人住民税が自治体の財源となります。こうした財源を用いて地方が魅力を増し、それが新たな移住を生み出すという好循環につながる可能性があります。

その他、テレワークが地方創生にもたらす一般的なメリットは、内閣府「地方創生テレワーク」のサイトに詳しくまとめられています。

フルリモートのデメリット

  1. 出会いの機会の喪失
  2. 魅力のない地域の淘汰
  3. 本来生まれたかもしれないシナジーの消滅

1 出会いの機会の喪失

 フルリモートが進むことで、従来はあった職場でのリアルなコミュニケーションの場が失われます。国立社会保障・人口問題研究所の調査(※)によれば、夫婦のうち2割強が職場や仕事で知り合ったという結果が出ており、ここが失われることで、未婚化・少子化の進行が加速する可能性があります。一方で、「ネットで」という項目が増加しているように、リモートならリモートなりの出会い方があるかもしれません。

※令和3(2021)年6月に実施した「第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)

2 魅力のない地域の淘汰

フルリモートが普及することで地方移住が促進されるとしても、逆に言えば移住をしたいと思えるだけの魅力がなければ、地域に人を呼び込むことはできません。中央から地方への人口回帰の流れが加速するとはいえ、魅力を高める努力を怠れば、これまで以上に人が流出する自治体が出てくる可能性があります。

3 本来生まれたかもしれないシナジーの消滅

魅力的な企業等が地方進出しようとした場合、物理的なオフィスを設けなければ、仮にオフィスを設置した場合に発生する地域への経済効果が発揮されないこととなります。
例えば、文化庁は令和5年3月から京都での業務を開始しました。これは、東京一極集中の是正も目的としているそうですが、物理的に移転することで、そこを訪れる人や勤務する人などが新たな経済やシナジーを生む可能性があります。フルリモートではその可能性がなくなります。

フルリモートは地方創生に寄与するか

ここまで見てきたように、フルリモートによる働き方と地方創生の関係性は表裏一体で、フルリモートが普及すれば地方が栄えるとは単純にいかず、地域の魅力向上なき地方創生は、フルリモートが当たり前になったとしても難しいという構図が見えてきたかと思います。ただ、フルリモートが地方創生のきっかけになりうる、ということは間違いなく言えるので、こうした働き方の多様化をポジティブに受け止めて考えていくことが重要です。
また、そもそも定住して働くスタイル自体が少なくなってくる可能性もあるので、「地域にずっと住み続けてもらう・地域とずっと関係してもらうための施策」が地方創生を志す自治体や団体等には求められるのかもしれません。

リモートワークを推進する地方企業

では次に、リモートワークを実践・推進している地方企業をご紹介します。

oVice株式会社(石川県七尾市)

「人々の生活から物理的制約をなくす」をミッションに、働く場所の選択肢としてバーチャルスペース「oVice」を提供しているスタートアップです。2023年4月末時点で、約4000社への導入実績、有料登録ユーザー数は約18万人となっており、従業員約100名全員がリモートワークで働いています。

oViceに集まることで、メンバーはアバターにより互いの状況が見え、すぐに音声会話で交流できるので、リモートワークによる情報格差や疎外感が生じにくいそうです。また、ビーコンをリアルオフィスに設置することで、リアルオフィスの位置情報をoVice上に表示することができ、これにより在宅組と出社組とが繋がりを感じられるとのことです。

株式会社キャスター(宮崎県西都市)

「リモートワークを当たり前にする」をミッションに、バックオフィスの代行サービスなどを展開している企業です。2023年10月4日には東証グロース市場への上場も予定。創業時からフルリモートワークによる組織運営を行っており、800名以上のリモートワーカーが全国各地から集まり、在籍しています。

リモートで企業の業務をサポートする「CASTER BIZ」シリーズなどで、経理・採用・労務・マーケティングなどの幅広い業務内容に対応し、人材不足や業務効率化などの課題解決をしているそうです。

“キャスターはなぜ宮崎県西都市が本社なの?”というnoteの記事がおもしろかったので、こちらもご参照ください。

株式会社LASSIC(鳥取県鳥取市)

「『らしく』の実現をサポートする」をミッションに、フルリモートワークに専門特化した人材サービスやメディア運営を行う企業です。大半の社員がフルリモートで勤務しているほか、東京・鳥取の社屋へ出社し、ハイブリッドで勤務することも可能ということです。

最近ですと、鳥取市・鳥取銀行とリモート人材活用に関する協定を締結しており、リモートワーカーの活用に対する認知向上と意識改革の啓発、地元企業とリモートワーカーとのマッチング機会の提供などを実施していくそうです。

株式会社あるやうむ(北海道札幌市)

われらが「あるやうむ」も、北は北海道から南は九州まで全社員がフルリモートで働いています!「あるやうむ」ではスタートアップ文化のない、首都圏以外の地域の人材を優先的にフルリモートで採用し、それまでスタートアップ文化のなかった地域にスタートアップ文化を根付かせようとしています。

リモートワークで広がる地方創生の可能性

今後、リアルにより近い体験のできるメタバースなどの技術が発展すれば、リモートワークという選択肢はより一般的・汎用的になっていくと考えられます。そのときに働く場所として「選ばれる地方」になるためには、地域の個性や特色を活かした魅力向上が不可欠です。

一方で、リモートワークで成長している企業があり、こうした企業が全国各地から優秀な人材を集めてさらに成長することで、法人住民税等による納税が地域を潤し、その発展に寄与することも事実かと思います。

ブロックチェーンやリモートワークといった技術のメリット・デメリットをしっかり理解しながら、その恩恵を最大限に享受することで地方創生を加速する。あるやうむはその一旦を担っていきます。

この記事を書いた人:マーガレット

NFTの未来を信じていたらいつの間にか地方創生の記事を書いていました。

web3の「分散」的な考え方や「開疎化」といった考え方が好きです。

と言いながら東京も好き。かっこいい中央集権も好き。

不機嫌そうな顔してますがDiscordで見かけたらお声がけください。泣いて喜びます!

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