世界初の尾鷲(おわせ)の取り組み
以前、こちらの地方創生Web3研究所で、三重県尾鷲市から始まった世界初の地方自治体によるNFT活用の取り組みについてご紹介しましたが、その後新たな展開がありましたので、続編をぜひお届けしたいと思います!
これまでの取り組みについては、前回の記事をご参考にしてください。
私もちょうど1年くらい前に、こちらのNFTを購入し、0.03ETHほどの価格で1トン分のカーボンクレジットを保有することができました。
通常個人でカーボンクレジットを保有することは難しいのですが、SINRAの販売する「Regenerative NFT」を購入することで、個人でもカーボンクレジットの保有が可能となり、NFTの販売によって生まれた利益は、自然資源の再生や地域に還元されます。
これにより自治体などの自然資源保護者は、カーボンクレジット創出に伴う費用を事前に集めることができ、安定的にプロジェクトを進めることができます。
改めて自分が購入したNFTを見てみると、自然資源保護者名として「尾鷲市」の名前も刻まれており、自分が尾鷲の自然に多少なりとも貢献できたのを実感できました。
カーボンクレジットNFT その後の展開
カーボンオフセット・マッチング
NFT購入後は、カーボンクレジットに対する関心も高まり、カーボンクレジットを創出した尾鷲のフィールドワークにも参加させていただきました。
そのことでより尾鷲とのつながりや美しい森と海と地域全体の環境価値向上に貢献できた喜びも感じることができました。
ただ、これには続きがあり、カーボンクレジットは創出されただけではCO2削減へ貢献したとはいえず、オフセット、つまり排出されたCO2と相殺されることで初めて環境に貢献することができます。
現行の制度では、個人がカーボンクレジットを使うことができませんが、今回のカーボンオフセット・マッチングでは、SINRAが個人からカーボンクレジット(Regenerative NFT)を買い取り、企業へ販売することで、それが実現できます。
カーボンクレジットは、購入企業へ移動し、SINRA ↔︎ SINRANIA(Regenerative NFT保有者) ↔︎ 企業の間で、価値のバトンリレーが行われ、新たな関係性が構築されます。
また、カーボンクレジットは、購入企業へ移動しますが、NFTは手元に残り、オフセットされた印として、右下にSINRAのサインが入ります。
第一弾 NEORTとの連携
今回カーボンオフセット・マッチングの取り組みの第一弾として連携したのは、デジタルアートのギャラリー運営を行うNEORT社で、デジタルアート展「MOMENT」で発生するCO2が、SINRAのRegenerative NFTを通じてオフセットされました。
今回のイベントを通じて排出するCO2の量は、以下の通りA~Cに分類され、オフセットするCO2は、12tCO2(トン)と算出されました。
[A] Veniceでのイベント開催に伴い関係者・イベント参加者(50人程度を想定)が来場する際のCO2排出:7.10tCO2
[B] 東京でのイベント開催に伴い関係者・イベント参加者が来場する際のCO2排出:0.02tCO2
[C] 2年間のギャラリー運営時の排出CO2排出(プロジェクター利用、来場者の移動):3.99tCO2
(SINRA、NEORT デジタルアート展『MOMENT』にCO2フリーで環境貢献可能にする取組で協働)
そして、この12トンのうち5トン分について、オフセット希望者をSINRANIAから募り、私も自分の保有している1トン分について応募したところ当選し、無事オフセットされました。
今後は、小田急電鉄と共同開発した「エシカル旅プラン」でも同様の取り組みを構想中とのことで、新たな拡がりも楽しみにしたいと思います。
とりあえずのってみる
カーボンクレジットについては、日本取引所グループにカーボンクレジット市場が開設されたりと少しずつ認知度も広まってきていますが、個人にとっては、なかなか関わりにくく、私もぼんやりとした解像度しかありませんでした。
NFTとカーボンクレジットを組み合わせるという発想を聞いた時は、ただ、おもしろそう!という好奇心から、NFTを購入してみましたが、そのことで、カーボンクレジットに対する感度も上がり、また、尾鷲のフィールドワークに参加することで、カーボンクレジットに留まらない環境価値についても理解を深めることができました。
今回のカーボンクレジット・マッチングという新たな取り組みについても、最初は、何かおもしろそう!という好奇心で応募しましたが、その結果、カーボンクレジットの仕組みについての新たな知見も得られました。
リスクが少ないのであれば、とりあえずのってみる、そんな発想がweb3を楽しむのには、オススメのマインドセットです。
そしてNFTは、そういった関わりしろを拡げるのにとても有効なツールでもあると改めて感じました。